2023年12月14日
INTERVIEW
<全員がクリエイターとしてクライアントに向き合う>あらゆるコミュニケーションに驚きを込める フロンテッジの「越境」するカルチャー
※本記事は宣伝会議2024年1月号の転載です。
フロンテッジは、ソニーグループと電通グループの出資により設立され、今年で21年目を迎えた。
今、必ずしも広告だけではないコミュニケーション全体に事業領域を広げる同社。
"越境した課題解決"を実現する同社ならではのカルチャーについて、エグゼクティブ クリエイティブディレクターの島田浩太郎氏に話を聞いた。
島田浩太郎(しまだこうたろう) フロンテッジ ソリューションクリエイティブディビジョン 執行役員 エグゼクティブ クリエイティブディレクター
コミュニケーションそのものをエンタテインメントに
フロンテッジが掲げるビジョンは、「Communication Entertainment Company(CEC)」。この言葉には、同社が属するソニーグループが掲げる「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というパーパスが根幹にある。
「近年はデジタル化が進み、コンテンツの均一化が進んでいると感じることが多い。そうしたなかで記憶に残る、感情を動かすコンテンツをつくるにはどうしたらよいか。私たち独自のメソッドやフレームワーク、そしてソニーと電通のアセットを生かしながら、コミュニケーションそのものをエンタテインメントにしていくのが私たちの役割です」と島田氏は語る。
ソニーグループ他、IT、モビリティ、システムインフラ、食品メーカーなどの広告・パーパス策定に携わってきた同社。2017年からスタートした「わたしは、私。」シリーズをはじめとする西武・そごうの企業広告では、多数の広告賞を受賞してきた。
そうしたなかで近年増加しているのが、BtoB企業からの相談だという。コーポレートブランディングやインナーブランディング、採用ブランディングなど目的は様々だが、クリエイティブコンサルとしてパーパスの策定から携わり、ワークショップを展開。リサーチやPR、メディアプランニングなど、最終的なアウトプットまでつなげていく。
こうして事業領域が広がり企業のマーケティング施策の上流に関わっていくうえで、「よりストラテジーが重要になっている」と島田氏。ただし、ストラテジーをつくって終わりではない。互いの領域を越境しながら一人ひとりがクリエイティビティを発揮することで、クライアントの課題解決に寄り添っていくのだ。
実務面・育成面でも「一人一役」ではない環境をつくる
同社でいわゆるクリエイティブ職にあたるのが、島田氏が統括するソリューションクリエイティブディビジョンだ。人員は約50名、大きく「プロジェクトリーダー」「クリエイティブ」「デジタルマーケティング」「コンテンツストラテジー」とグループが分かれる。しかしそのなかで、例えばデジタルマーケティングに籍を置きながらコンテンツ制作に関わったり、プランナーがコピーを書いたりなど、一人一役ではないことが大きな特徴だ。実務だけでなく育成面でも「2ロール制度」と呼ばれる制度があり、コピーライターがシナリオを、アクティベーションプランナーが空間設計を学ぶなど、「2軸目」の強みを持つことを推奨している。
さらに同社独自の組織「クリエイティブパーチ」には、職能を問わず次世代を担うメンバーが集まる。シニア クリエイティブディレクターである上島史朗氏をリーダーとしてクリエイティブに携わり、"パーチ=止まり木"から枝葉を広げ、実績を積み重ねていく。
ソリューションクリエイティブディビジョン所属のメンバーの約9割はキャリア入社。クリエイターだけでなく、例えば事業会社でマーケティングに携わってきた人などもいる。固定化された役割ではない、領域を広げることをポジティブに捉えている人が多いと島田氏は話す。
「一方で、マルチプレイヤーといえど、何か核となる強みがあったほうがよい。自分自身のよりどころとなるスキルがあるからこそ、困ったときには壁を打破することができるし、社内での立ち位置も明確になると考えます」(島田氏)。
事業拡大に伴って採用活動も加速している同社。ストラテジックプランナーやプロデューサーなどの採用を進めているなかで島田氏は、「データ一辺倒ではなく、大切なのはその背景にいる人間。その人間の"欲"をかわいいと思える人、が向いているんじゃないかと思います」と語った。
クライアントを巻き込みながら新しいカルチャーを届ける
近年ではソニーグループが結集しテクノロジーを活かした新しい恐竜展のプロデュースを自ら企画・開発するなどユニークな活動もしている。
「私たちがCECを具現化するために大切にしているのが、"Element of surprise"という言葉。広告だけではない、あらゆるコミュニケーションのなかに驚きを込めて、均一化されないコンテンツをつくり上げていきたい。
これからさらに、クライアントを巻き込み、新しい文化を世の中に届けていきたいと考えています」(島田氏)。
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